足立勢一郎

足立勢一郎

「お客さんに喜ばれる仕事を、お客さんと相談しながら」この道40年

足立さんは、40年以上にわたって塗装の世界を生き抜いてきた職人さんだ。「お客さんに喜ばれる仕事を、お客さんと相談しながら」、それぞれの仕事に向き合ってきたと言う。

住宅や店舗の内装をメインとする塗装職人の足立さんの売りは、職人を束ねる力だ。

塗装の世界に入った当初の10年間はほとんど現場には出ず、塗装店の番頭として塗料と職人の采配に従事してきた。新しい塗料を持ってメーカーが説明くれば、まず自分が試し、その特徴を職人や顧客に紹介。帳簿上だけの采配は決してとらず、必ず自身が身をもって実践し続けてきたところに、足立さんの強みがある。

個性の強い職人を、冗談を言ってなだめながら現場へと送り出し、後工程のボリュームを考えながら人員を采配。自分でも塗料を直接扱っていたため、現場の状況を具体的にイメージしながら、職人にも顧客にも説明をしてきた。

あらゆる現場を知り尽くした、職人を束ねる力

現在も、塗料の品質向上と特性の変化は止むことがない。「これでいい、というものはない。人間も、常に向上しながら対応しなければならない」との思いを、足立さんは、番頭時代から変わらず抱き続けている。

20代の頃には、自動車整備工と車のセールスにも従事していた。「車がぐずるって言うけど、これがわかるのが自分の(セールスの)売りでした」と、足立さんは話していた。足立さんならばきっと、雨が降ったり、木材の状態がベストでなかったりなど、塗装の現場においても「ぐずる声」をすぐに聞き分けられるはずだ。

現在は独りで塗装の仕事をこなしている足立さんだが、複数の職人が同時に作業をするような現場に足立さんが入ったなら、きっと番頭時代のノウハウが発揮されることだろう。職人の声に寄り添い、束ねる力は、今も自身の仕事を通じて、磨き続けられている。