深谷 武彦
腕利きの内装職人、深谷武彦(ふかや たけひこ)。
25年前、独り福島から離れ、見知らぬ地、東京に。
少年は今まで生きて来た別世界、内装工事の入口に立ち尽くす。彼は17歳だった。
まだあどけなさが残る顔立ち、知り合いを頼り内装工事の丁稚になった。
当時100kgあった体重もすぐに60kgに落ちた。
右も左も分からない都内に移り住み、厳しい仕事を進んだ事が容易にわかる。
そこから四半世紀が過ぎ、内装工事のエキスパートとして、多くの施主から声がかかるようになった。
主に個人のお客様からのご依頼が多い。
内装職人は大きく分けて、2種類の仕事の取り方がある。
ひとつは不動産会社や管理会社からの依頼をメインとしている内装屋。
もうひとつは個人や知人から、注文を頂く内装の職人がいる。
前者は賃貸がメイン。収益物件の工事は利ザヤを目的としているため、工事の仕様も安価になりがちだ。
「この値段の家賃だから、ここまでの工事で良い」と。
すこし雑な言い方だが「ヤッツケ」的な原状復帰に留まる事が往々にしてある。
片や後者、個人オーナーからの依頼は、技術的な広さや深さ、完成度が求められる。
何せ施主は人に貸す住宅では無く、自宅の内装工事なのだから顧客のスタイルに合わせ、彼らの求めるレベルは高く多種多様だ。
「海外製の壁紙を使いたい。」「ココはこの模様で」
「お洒落な内装に仕上げたい。」などと要望が高く、それに応えられる技術が無ければ仕事が出来ない。
例えが大げさかもしれないが、ファストファッションの縫い子と、テーラーメイドのスーツを仕立てる職人くらい違うのだ。
しかも、施主は毎日その壁を見るのだから、要求が高いのは当然。それに応える技術を彼は持つ。
そしてその仕事っぷりを理解した施主は、友人知人へ鼻高々に職人を紹介する。
気が付けばいつしか都内だけの現場には収まらず、日本全国を飛び回り、内装工事の仕事をするまでになっていた。
特にマンションの内装改築のご依頼をいただく。
彼は言う「インテリアリフォームや壁紙施工の醍醐味は、仕上げにある!」
新しい装いに生まれ変わる瞬間を、誰よりも先に見る度に新鮮な気持ちになる事を知っているからだ。
だからこそ仕上げを目指し、下地処理には手を抜かない。
その仕上がりを見た施主は、必ず笑顔になる。
彼は言う。「お客様の笑顔が見れる仕事」に誇りを持ち、内装職人として腕を振るう。
内装工事は新しい室内環境を作るだけじゃない、インテリアリフォームでお客様の笑顔を作る仕事だ。
東京塗装の出会いも、人から人。
内装職人、深谷武彦との出会いも繋がりの証しだった。